■ステンド・グラスとべーゼン・ドルファーの置いてある、浅草・本覚寺での定期コンサートは、ご住職の沖鳳亨さん*とフランス音楽の専門家である作曲家・市川景之さんがパリのレストランで出会われたことから始まりました。本公演では、ゆかりの方々に沖さんとの思い出を語っていただきながら、奇しくも今年没後50年となるジャン・コクトーの、「80日間世界一周の旅」の一端(フランス〜インド〜浅草)を音楽で辿り、今は「聖人」となられた沖さんの、尽きることのない探究心と好奇心、そして遊び心を讃える、ささやかな会となれば幸いです。
*沖鳳亨(おき ほうこう) 1931年 小田原に生まれる。1953年 立正大学仏教学部卒業。以後、本覚寺にて院代として勤める。 1971年より本覚寺住職として勤める。2008年 本土寺(松戸)住職として入寺。2013年1月 本土寺にて没す。 本土寺第61世悠鳳院日宙聖人 本覚寺第35世悠鳳院日宙聖人
■演奏は、かつて本覚寺で公演させていただいた演奏家とダンサーで、演目は、20世紀初頭にフランスで生まれ、インドの詩人タゴールとも接点のあった楽器「オンド・マルトノ」を用いた作品(一ノ瀬トニカさん作曲による声とオンド・マルトノのための歌曲「プラーナ」は、2005年の本覚寺での公演がきっかけとなって生まれました)、そして沖さんへのオマージュとなる市川さんのピアノ演奏、また、2001年に在パリ日本大使館において演奏された市川さん作曲の堀口大學の短歌(大學自身によるフランス語訳)による歌曲、そして最後は、ジャン・コクトーのモノローグ「モンテカルロの女」をテキストに用いたダンス作品の上演となり、21世紀の「浅草」にコクトーの声が蘇ります。
■さらに会場では、沖さんの写真を掲載した詩集『マー・ガンガー〜死ぬのはこわいだろうか』(めるくまーる刊)の展示販売を致します。この機会に、ぜひお手にとってごらんいただければと存じます。
(P-REM 岡田千香子)